道徳授業の定石化「①登場人物の確定」「②変換点の検討」「③今と未来の選択」
授業開始は、待たずに巻き込む
道徳教科書に載っている話は「うそっぽい、わざとらしい話だなぁ。」と思うのが正常な感覚だろう。
道徳の時間に教科書も開かず、ぼーっとしている子がいるのは、それが一つの理由なのかもしれない。
とは言え、こうした子が目に入ったなら、毅然と、はっきりと、大きな声で、
「教科書!両手で持つ!」
「立てる!」
遅い子を待たない。教師が目の前でやってみせる。
これから読む話の「あらすじ」を伝え、読み聞かせを始める。
途中途中で読み聞かせを止め、定石①で集中させ、巻き込んでいく。
定石①「登場人物・セリフ・したこと」の確定
確認、検討、確定することは次の三つ。
A 登場人物(中心人物)
B セリフの話主
C 中心人物のしたこと
「最初に出てきた人は?」「次は?」「もういませんか?」
登場人物が出てくる箇所を見つけたら、色鉛筆で丸囲みさせる。
色は赤と青の二色程度。(赤と黒でもいい)挿絵で人物が着ている服に対応させて囲ませると分かりやすい。
色鉛筆で囲みつつ、1,2,3…と番号も書き込ませる。
出てきた回数が多い人物が中心人物である事が多いので、中心人物も確定させておく。
次は会話文の話主を確定させる。
会話文の文頭に「ア」「イ」「ウ」と書き込ませながら、
「アは誰?」「イは?」「ウ?」
話主が分かりづらい箇所は、理由を言わせる。
話主が確定したら、会話文全体を、話主の色でぐるっと囲ませる。
こうした作業は、大型テレビに教科書を映し出し、実際に書き込んでやり、それを写せばいいようにしておくとよい。配慮が必要な子たちというのは、「授業開始数分での作業でつまづく→授業に付いて来れなくなる」ケースが多いからだ。
作業はゆっくり丁寧に、一人も取り残さないよう進める。
書き込もうとしない子には,「先生が書いていい?」と声を掛け、書き込んでやるといい。
三つ目は「したこと」の確認。
中心人物がしたことを表す言葉に色鉛筆で傍線を引かせる。
※詳しくは「さるへいと立てふだ」の授業を参照)
定石② 中心人物の変換点の検討
発問A「中心人物の考えが変わったと分かるのはどこ(何番のセリフ)からか?」
これは複数出されるかも知れない。
「1番?」「2?」「3?」…と手を挙げさせ、理由を言える子がいれば言わせる。
そして、子どもが話した理由を教師が短い言葉で「キーワード」にまとめてやり、その言葉を子どもに黒板に書かせる。
そうさせることで、教師は板書中に子どもたちに背中を向けることがなくなり、子どもの反応を見取ることができる。緊張感も途切れない。しかも板書した子どもにとっては、自分の意見を板書することで、「自分の意見が認められた」と感じると共に、「自己有用感」も高まり、これから先の授業でも進んで意見を延べたり、板書したりするようになる。
定石③今の自分、未来の自分を選ぶ
複数のキーワードが板書されたとする。
発問B「一番大事な(良い)言葉はどれか。」
を選ばせる。理由も言えるようなら言わせる。
発問C「一番だめな(悪い)人物は誰か。」
と選ばせる場合もあるが、これは簡単に答えが出ることが多い。そのように作ってあるからだ。
発問D「自分は中心人物と同じように言える(できる)か。」
お利口さんが多い学級は、実際はそうでなくとも「言える(できる)」方に手を挙げる。
発問E「今の自分は、誰に近いか。」
まじめな子、嘘がつけない正直な子は、この発問で分かる。
発問F「これからの自分はどちらになりたいか」
発問G「友達に、家族に、初めて会う人に、自分はどうしたいか。」
道徳に「正答」はない。どちらを選んでもいい。
それを選んだ理由や、そうするための方法を考えることが大事だ。
まとめ
教科書の最後の方の余白を使い、
「今日の授業で分かったこと、気が付いたこと、思ったこと」(わ・き・お)
について書かせる時間とする。
書けたら、「ロイロノート」などのアプリを活用して提出させる。何かしら感想を書かざるを得なくなるので、必死になって書くだろう。
できるなら「教師の講話」をする。難しく考えない。教師の人生経験の中で、似たような経験や体験談があれば、それを話してやればいい。ほんとの話でなくてもいい。知っている話や聞いた話でもいい。
思ったほど盛り上がらず、反応も薄く、うまくいかなかったな…と思った時はどうするか?
粘らない。さっさと撤収する。さらっと終える。
「しょせん絵空事の話だ」と割り切れるなら、しつこく粘る必要もない。
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