道徳授業の定石化「いま、ぼくにできること」(2年東書)勤労、公共の精神〔みんなのためにはたらく〕
「勤労、公共の精神」って何だ?
サブタイトルに〔みんなのためにはたらく〕とある。二年生に教えるには、かなり難しい内容だ。
そこで教科書会社の指導計画を見てみる。
1 「働く」という言葉の捉え方の一つを知る。
2 「いま、ぼくに できる こと」を読んで話し合う。
◎「ぼく」はどんな考えから、「ありがとうのしゅくだいは、ぼくが大人になるまでつづきます。」と言っているのでしょう。
3 自分を振り返り、働いてよかったことを話し合う。
○家の仕事、係や当番活動などで、働いてよかったことやうれしかったことは、どんなことですか。
4 勤労、公共の精神について、教師の話を聞く。
何だかよく分からない。よくわからないままやれば、しらけた授業になるように思われる。二重丸の発問など、そのままやったら、よほど賢い子どもがいなければ何も出てこない。
いい方法が見つからないので、まずは定石展開で授業を進めることを考える。
(それにしても、「3.11」ー未曾有の大震災被災者の子どもが綴った作文から、「どんな考えから、『ありがとうのしゅくだいは、ぼくが大人になるまでつづきます。』」という答えを導き、「勤労」「公共」の精神に繋げるというのは、至難の業だと思う。)
あらすじ
2011年3月11日、町を大きな地震と津波が襲った。いろいろな物が一瞬でなくなった。水、食べ物、電気、家。当たり前だと思っていたものが、一瞬でなくなってしまった。がれきを片付けてくれた人。水を運んでくれた人。地震の時に一緒に泊まってくれた先生や友達。その時から僕の心の中は、「ありがとう」の気持ちであふれそうなくらい一杯になった。2週間ほどしてから修了式があった日。先生が「春休みの宿題は、一日に一回以上『ありがとう』と言われることです」と言った。(ぼくに何かできることはないだろうか)と考えて、避難生活を送る人のお手伝いをすることに決めた。
定石①「登場人物」「セリフ」「したこと」の確定
「登場人物」 ぼく(赤丸囲み) がれきをかたづけてくれた人 水を運んでくれた人 地震の時に一緒に泊まってくれた人 先生(青丸囲み) 友だち
「セリフ」は①〜⑤ ①先生 ②ぼく ③ぼく ④避難所の人 ⑤家のない人
※登場回数やセリフ、題名から「ぼく」が「中心人物」
ぼくが「したこと」の確認
穴埋め形式。「したこと」「できごと」を確認。パワポなどでテンポ良く進める。
①町に◯◯◯(つなみ)→◯◯◯◯◯(あたりまえ)と思っていた◯◯(もの)が◯◯◯◯◯(なくなった)。
②あらわれたもの→がれきを片付ける◯(人)水を運ぶ◯(人) いっしょにとまる◯◯(先生)や◯◯◯◯(ともだち)→◯◯◯◯◯(ありがとう)の気もちでいっぱい。
③しゅくだい「一日一回以上『◯◯◯◯◯』(ありがとう)と◯◯◯◯(言われる)こと」→◯◯◯(ひなん)している◯(人)が気になり、◯◯◯◯◯(お手つだい)をすることにきめた。
④◯◯◯(水くみ)や◯◯◯◯(しょくじ)くばりのお手つだい
「どうぞ」「◯◯◯◯◯(ありがとう)」
→◯◯◯◯◯◯(よろこばれる)→◯◯◯◯(たのしく)なっていた
→「はたらく」=「人のために動く=傍(はた=そば)が楽になる」
⑤大きくなったら、◯◯◯◯◯(→けんちくか)になって、つなみに強い町を作りたい
→「◯◯◯◯◯(ありがとう)」と言われたい。
定石②中心人物の変換点の検討
発問1「ぼくの考えが変わったのは、どこか。」
→「ありがとう」の気もち=地震の時に先生やともだちと一緒に泊まってから①
→(なにかできることはないだろうか)②
→よろこばれるのがたのしくなっていました。③
→けんちくかになりたい。④
定石③今の自分、未来の自分を選ぶ
発問2「今の自分は、①、②、③、④のどの気持ちをもって生活しているか?」
発問3「これからの自分は、どのようにしていきたいか。」
発問4「ありがとうのしゅくだいは、ぼくがおとなになるまでつづきます」とは、大人になるまで「◯◯◯◯◯(ありがとう)」と言われる人=「◯◯◯◯(はたらく)人」になるということ。
まとめ
「ありがとうのしゅくだいは、ぼくが大人になるまでつづきます。」という「ぼく」の考えを導き出す方法として、発問4を考えてみた。
「ありがとう」から「はたらく」気もちがぼくに芽生え、建築家になって「ありがとう」といわれる「しごと」をしたいという展開だ。
何も手を打たなければ、子どもたちからは何も出てこない。かなり難しい問いだと思う。よりいい方法があればぜひ共有させて頂きたい。
道徳の定石化「七つのほし」(東書2年)はこちらから。
道徳授業の定石化「①登場人物の確定」「②変換点の検討」「③今と未来の選択」についてはこちらから。
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