道徳授業の定石化「日曜日のバーベキュー」授業を安定させる定石展開、定石発問を考える。

2024年12月31日

授業開始は、待たずに巻き込む

道徳教科書に載っている話を読んで、

「うそっぽい、わざとらしい話だなぁ。」

と感じる人は少なくない。

道徳の時間に、教科書を開こうともしない子がいるのは、そんな話は読みたくない、という意思表示の現れなのかもしれない。

でも、やらないわけにはいかない。

そこで、こういう子がいるのなら、毅然と、はっきりと、大きな声で、

「教科書!両手で持つ!」

「立てる!」

これから読み聞かせる話の「あらすじ」を伝える。

途中途中で、登場人物やセリフの話主を尋ね、全体を巻き込んでいく。

読み聞きかせの後は「あらすじ」の確認

確認、検討、確定することは次の三つ。

A 登場人物(中心人物)

B 会話文の話主

C 人物評価

「日曜日のバーベキュー」でも、同じように行う。中学年教材であれば、A~Cに要する時間はそれほど必要としないだろう。

登場人物が出てきたら、名前を色鉛筆で丸囲みさせる。

色は赤と青の二色程度。(赤と黒でもいい)挿絵で人物が着ている服に対応させて囲ませると分かりやすい。

出てきた回数をもとに、中心人物も確定する。

次は会話文の話主を確定させる。

会話文の文頭に「ア」「イ」「ウ」と書き込ませ、誰なのか尋ねる。

話主が分かりづらい箇所は、理由を言わせる。

話主が確定したら、会話文全体を、話主の名前と同じ色で囲ませる。

大型テレビに教科書を映し出し、実際に書き込んでやり、それを写せばいいようにしておくとよい。配慮が必要な子たちというのは、授業開始数分でつまづき、授業に付いて来れなくなるケースが多い。

最初はゆっくり丁寧に、一人も取り残さないよう進める。

書き込もうとしない子には,「先生が書いていい?」と声を掛け、書き込んでやるといい。

三つ目は「人物評価」をする。

「一番いい人は誰か?」「一番だめな人は誰か?」

登場人物がしたことや発言などを根拠、登場人物を色分けすることにより、話を単純化し、論点を明確にする。

※詳しくは「さるへいと立てふだ」の授業を参照)

定石②変換点の検討

発問A「中心人物の考えが変わったと分かるのは、どこ(どのセリフ)からか?」

これは複数出されるかも知れない。

「ア?」「イ?」「ウ?」…と手を挙げさせ、理由を言える子がいれば言わせる。

理由を述べた子には、教師が短い言葉で「キーワード」にまとめてやり、キーワードを子黒板に出てきて書かせる。

そうすることで、教師は板書中に子どもたちに背中を向けることがなくなり、子どもの反応を見取ることができる上に、緊張感も途切れない。

板書した子どもにとっては、板書することで、「自分の意見が認められた」と感じると共に、「自己有用感」も高まる。子どもによっては、他の授業でも進んで意見を延べたり、板書したりする=主体的に学習に取り組むようになる事も多い。

定石③今の自分に返して考えさせる。

複数のキーワードが板書された後の発問は次のようなものが有効である。

発問B「一番大事な(良い)言葉はどれか。」

発問C「一番だめな(悪い)人物は誰か。」

意見があまり出ない学級であれば、班で話し合わせた後に理由を言わせるといい。指導書に載っている「どんなことを思ったでしょう?」のような、思いつきを強要する発問とは異なり、自分の考えを選び、その理由を考えざるを得ない「主体性」が引き出されるキー発問でもある。

発問D「今の自分は中心人物に似ている同じように言える(できる)か。」

発問E「今の自分は、誰に近い(似ている)か。」

発問F「これからの自分はどちらになりたいか」

発問G「友達に、家族に、初めて会う人に、自分はどうしたいか。」

道徳に「正答」はない。どちらを選んでもいい。

それを選んだ理由や、そうするための方法を考えることが大事だ。

まとめ

教科書の最後の方の余白を使い、
「今日の授業で分かったこと、気が付いたこと、思ったこと」(わ・き・お)
について書かせる時間とする。

書けたら、「ロイロノート」などのアプリを活用して提出させる。何かしら感想を書かざるを得なくなるので、必死になって書くだろう。

できるなら「教師の講話」をする。難しく考えない。教師の人生経験の中で、似たような経験や体験談があれば、それを話してやればいい。ほんとの話でなくてもいい。知っている話や聞いた話でもいい。

思ったほど盛り上がらず、反応も薄く、うまくいかなかったな…と思った時はどうするか?

粘らない。さっさと撤収する。さらっと終える。

「しょせん絵空事の話だ」と割り切れるなら、しつこく粘る必要もない。

 

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