「テストの採点」甘くするか辛くするか?〜他クラスのテスト採点なら甘口で。自分のクラスは辛口採点でOK?
「いぱっい」は「いっぱい」じゃない。わかっちゃいるけど…
担任不在で補欠に入った教室に置かれていた「ミリーのすてきなぼうし」(2年光村)のテスト。
「花やさんを通りすぎた時、ミリーのぼうしはどんなぼうしにかわりましたか?」
という問いに、「花でいっぱい」と答える問題が出されていた。
テストには、太字で示した前出の文が出ているので、「花でいっぱい」と書かれている文を見つけ、そっくりそのまま、( )内に書き写せばいい。ところが、子どもたちの回答を見ると①〜⑥のような答えが書かれていた。
①2,3画目が1画目を突き抜けていない草冠で「花」と書いている→花でいっぱい
②花でいぱっい
③花でいぱい
④花いっぱい
⑤はなでいっぱい
⑥はないっぱい
①は「そっくりそのまま、正しく書き抜かないと、意味が変わってしまう。漢字も同じ。」という指導を日々の授業の中で行っていれば「バツ」。今回は担任の代わりに採点しているので「マル」にしておき、2画目、3画目を赤鉛筆で薄く書き足し、バツを付けないのが無難かもしれない。
問題は②以降をどう採点するか?①と同じ基準で採点するなら、正答を赤鉛筆で書き直してやってマルにする。
こんな採点方法で「文章に即して正しく読み取る力」を身に付けさせることができるのか?と問われるとちょっと困る。
どう指導すべきか迷ったら「学習指導要領」を見ろ!
「学習指導要領」低学年の目標(2)内容 ①指導事項 エには、
「文章の中の大事な言葉や文を書き抜くこと」
が示されおり、解説編には
「内容や表現からみて大事な言葉や文を書き抜くことは,理解を深めたり,自分の考えをまとめたりするときに役立つ。書き抜いた言葉や文について,感じたことや経験したこと,思ったことや考えたことなどを書き添えたり,それらの言葉や文を関係付けて整理したりすることが大切である。」
と記されている。
ちなみに指導事項アの「音読」に関しては、「語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。」
すなわち「気を付けて」いれば良し!
書かれている内容の把握に関わる項目イには、
「時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。」
ができていれば「大体」OK!とされている。
「場面の様子」の把握については,
ウ「 登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。」
なんと、登場人物の行動などは、「想像広げ」てよ〜し!となっている。
だが、そのままでは思いついたことは何でもOKとなってしまうことを防ぐため、ア〜ウを踏まえた上で、想像したことの根拠となる大事な文や言葉を文中から正しく「書き抜く」ことを求めている。
ペーパーテストで評価できるのは、「正しく書き抜く力」が付いているかどうか。
担任ならば、最低でも①で答えることができるように指導したいところだ。
「答えが確定できるテスト」を採用すべき
上記動画でも少し伴氏が触れているが、そもそも( )かっこに答えを書かせるようなテストを採用しているから答えがブレるのだ。
答えがブレるのは、
①「◯文字で」のように答えが定まるような問い方をしていない。
②答えが複数あるのに「一つ」だと考えて出題している。
③何を答えればいいのか分からないような問い方をしている。
①〜③のどれかが当てはまる。
一番いいのは、答えの文字数が分かるように、マスを埋める形で答えさせることだ。
「文字数がヒントになってしまうので、穴埋めで答えさせていてもは読解力が育たない。」
そのように言う人が必ずいるが、そんなことはない。学年最初の頃に0点に近い点数を取っていた子が、夏休み前には点数が取れるようになる。10月頃には満点が見えてくるような点数が取れるようになる。まちがいなく学級平均点が上がる。それは読解力が向上している何よりの証拠だ。
逆に( )を埋めさせるようなテストを採用していると、こうした現象は起こりにくくなる。何よりも学力低位の子の点数がほとんど伸びていかない。
テストは、学力を測って「教師が子供を評価する」ためだけに利用するのではない。まちがった所を直すことを通して「子供の学力を向上させるため」に使うことが何よりも重要だ。だからこそ保護者からお金を頂いて購入している事への説明ができる。
そういう観点に立つなら、テストをする度に低い点数を取らせ、自信を失わせている事が行われているのは明らかにおかしい。答えの文字数をヒントにすれば、正しい答えを見つけることが容易になる。そうする経験を積み重ねていくことを通して、学年当初と比べると確実に点数が向上していくという報告が多数あること。
「ぜひ、一度、それを見てみたい。お願いします。」
そう言ってベテランに頭を下げることなど、実は大したことではない。
やってみて効果があることを実感するのは、実はベテランなのだ。
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