騒がしいなら「黙って待つな!授業を進めよ!」

「静かになるまで待つ」は初心者レベルである。

始業式から数日。初任者の教室は、すぐに騒がしくなる。

朝の会。日直の号令からすでにもたつく。手紙やプリントを配布し、一息ついたところで、

「先生、次は何するんですか?」
「体育がいい!」
「ドッジボールがいい!」

子どもたちが次々と話しかけてくる。

どう対応すればよいか分からず、初任者は愛想笑いをする。すると、やんちゃな子どもたちが教室を走り回り、騒がしさは一気にエスカレートしていく。

そこへ通りかかった教師が様子を見かねて教室に入り、

「席に着きなさい!」

と一喝。子どもたちはすぐに静かになった。

その後、「自己紹介カード」を書かせ、1時間目は何とか終了。しかし次の時間になると、また騒がしくなる。

(なぜ?どうして私の言うことを聞いてくれないの?)


「静かになるまで待つ」は本当に有効か

放課後、学年の先生に相談すると、こう言われた。

「黙って前に立ち、子どもを見渡して待っていれば、少しずつ静かになるよ。」
「それを繰り返すことが大事。時間がもったいないと思うかもしれないけどね。」

翌日、その通りにやってみた。

1回目は少し効果があった。しかし、2回目以降は効き目が薄れ、やがてまったく静かにならなくなる。ついには立ち尽くすしかなかった。

(どうしよう……どうして静かにならないんだろう?)


モデルを示して褒める=自己有用感を高める極意

数日後、初任者指導教員が教室に来た。

放課後に相談すると、次のように助言された。

「教科書やノートを出して静かに待っている子を見つけて、少し張りのある声で褒めなさい。」

「『○○さん、教科書もノートも筆箱も出しているね。えらい!』と、周りに聞こえるようにね。」

「すると、それを真似する子が出てくる。そうしたら、すぐにまた褒める。」

「つまり、“こうすればいい”というお手本(モデリング)を示し、”自分はできる”という自己有用感を高めることが大事なんだ。」

具体的な手立てとその理由まで教えてもらい、指導教員の授業で子どもたちが集中していた理由が少し分かった気がした。

そしてティーチングとコーチングの極意とも言われる海軍大将・山本五十六元帥の次の言葉を教えてもらった。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

(なるほど!)


「隙」が騒がしさを生む

指導教員は、さらに重要な指摘をした。

それは、自分の授業が「隙だらけ」であるということだった。

  • 連絡後、すぐに授業を始めていない
  • 黒板を見て話し、子どもを見ていない
  • 「あ〜」「え〜」など無駄な言葉が多い
  • 話が長い
  • 声が弱い
  • 笑顔がない
  • 授業準備ができていない

まさに「ないないづくし」だった。

担任としてクラスを率いるための基本が、圧倒的に不足していたのである。


授業を止めるな!

朝の会で連絡を済ませたら、すぐ授業に入ればよい。

しかし実際には、連絡帳を書かない子や、手紙をしまわない子の世話に時間を取られていた。その結果、教室が騒がしくなっていたのだ。

こうした子はどのクラスにもいる。

ならば、

  • 隣同士で確認させる
  • できない分は周りに手伝わせる
  • 必要なら教師が一時的に預かる

といった方法で、短時間で処理すればよい。

個別対応は「すきま時間」に行う。授業時間を削ってはいけない。


「やらせる」ことにこだわりすぎない

「自分でやらせることが大事」という考えは正しい。

しかし、それに時間をかけすぎてはいけない。

やらない子に何度も声をかけても、すぐに変わることはない。長年の積み重ねがあるからだ。

だからこそ、

  • 周りの子に任せる
  • 教師が代替する

といった判断も必要になる。

注意したければ、「どうしたの?」と聞いてやればいい。

忘れ物をしたら、「倍返しだね」笑顔で貸してやればいい。

一人でできそうもなければ、一緒に手伝ってやればいい。

子どもから好かれる教師でありたい。だが媚びる必要はない。

親切にし、助けてやればいいだけ。なのに、多くの教師はしない。

なぜだろう。不思議なことだ。

嫌われていいことなど何もないのに…。


最優先は「授業」

担任の最も重要な仕事は、「授業をすること」である。

しかも、

  • 計画通りに進める
  • むしろ余裕をもって前倒しで進める

ことが求められる。

そのためには、手作りプリントに頼るのではなく、学習指導要領に基づいた教科書を活用する。

教科書には「手本」がある。それを示し(モデリング)、やらせ、できたら褒める。

「できなかったことができるようになる」経験を積ませることが、教師の仕事である。


騒がしさは「隙」の結果

騒がしさの原因は、子どもではない。教師の「隙」である。

黙って待つ、無言で威圧する――こうした方法は、いわば初歩的な技術にすぎない。

特に高学年では、すぐに反発を招く。

大切なのは、
「できている子を見つけて褒めること」

ここからすべてが始まる。


学び続ける教師になる

手作りプリント中心の授業は、一見うまくいくように見える。

しかし、

  • ミスによる混乱
  • 子どもの集中力低下
  • 教師の信頼低下

といった問題を引き起こすことも多い。

それよりも、教科書を活用し、「わかる・できる授業」を組み立てる力を身につける方が重要である。

そのためには、

  • 書籍や動画で学ぶ
  • 授業を記録して振り返る
  • 研究会やサークルに参加する

といった環境に身を置くことが有効だ。

そうすれば、「教室が騒がしくて困る」という状況から抜け出すことができるだろう。