授業を安定させる方法

2023年3月29日

ちりも積もれば16時間

①「きょうつけー」

②「これから2時間目の授業を始めます」

③「はじめまーす」

毎時間毎時間、こんなことをやっている学級がある。

④「きょうつけー」

⑤「これで2時間目の授業を終わりまーす」

⑥「おわりまーす」

伴氏は動画の中で、この儀式のおかしさ(29分15秒あたりから)について「軍隊(と一緒)でしょ?」と痛快に切り捨てている。yossiiは次のように理詰めで考えてもおかしさが伝わると思う。

①〜③をやっている学級は、これもセットでやっている事が多い。

①〜③まで20秒かかるとしよう。④〜⑥も20秒かかるとすれば、1時間に40秒。

①や④の前は、教室がざわついていたり、おしゃべりをしていたりする子を注意するような時間も入ってくるので、実際には1分程度かかっている。

1日5時間授業があるとして、それに1分ずつ費やしているとするなら、1日5分。年間授業日数は200日程度あるので、5分×200日=1000分(?) 1000÷60分=16時間40分(!)

割り引いても16時間、この儀式に費やしている。やんちゃくんたちは、この儀式にほぼ参加しない。彼らにとっては、この儀式に費やす時間は「反抗」の作戦を巡らす時間なのだ。すなわち、儀式が終わった途端、「せんせい!きょうかしょ、わすれましたぁ!」「ぼくの筆箱がありませ〜ん」などと言い始める。儀式の間に、忘れた物や見つからないものを考え、全員の視線を集め、存在をアピールするわけだ。

形式を廃する

「授業は格闘技」という人がいる。油断している暇はない。やんちゃくん達が反抗の牙をむき始めたら、あっという間に教室は荒れていく。形式的な授業開始と終わりのあいさつなどしている場合ではない。チャイムが鳴ったら、自動的に授業がスタートするように仕掛けをする。

年間授業時数が最も多い国語の場合、次のように学習を進める事を説明する。

①漢字学習(漢字スキルで「指書き」「なぞり書き」「うつし書き」)

②音読(音読集または教科書を使って一人読み)

③今日の学習(先生と一緒に学習)

④カルタ(百人一首)・詩文・早口言葉・ことわざなどの音読・暗唱テストなど

時間配分は①②、それぞれ「5〜10分」(合計10〜20分)

③は20〜30分。④は5分。

④は③の内容によってやらない事もある。この5分で時間の出し入れをする。車の運転で言うなら、「ハンドルのあそび」に当たる。これがないと安全に運転できない。授業も一緒。

もちろん授業の始めと終わりに「あいさつ」はしない。授業開始のチャイムが鳴れば一気に授業モードに入っていく。

休み時間などで授業開始に遅れてくる子がいるかも知れない。そうした子に対しては、いちいち注意をするのではなく、きちんとやっていた子が得するシステムにする。すなわち、うつし書きまでできた子は、黒板に出てきて練習した漢字を一つ書かせる。10分ほどすると黒板のあちこちにいくつも学習した漢字が書かれる事になる。

それに○を付けていく。気になるところにはチェックマークを入れ、全員に「ここのところ、気を付けて書いてね」

「念のため、全員で書き順を確かめます」と画数を唱えさせながら空書きをさせて正しく書けているかチェックする。慣れてくると、覚えていない子が誰なのか、子どもの手の動きで分かるようになってくる。

「一列、書いてない人がいる。もう一度。前から順番に。」と、一人ずつ空書きさせると、やってない子も真剣に取り組む。

書き順確認の全体指導が入ると、10分〜15分かかる。そうなったなら、②の音読指導は③の本時の学習の中に繰り入れ、全体で音読(一斉読み)する。

このように時間の出し入れをする事が分かれば、授業はかなり安定して進められるようになる。

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