騙されてはいけない。国の予算は家計とは違う。「国債で減税して大丈夫!」
「国債で減税しても全然大丈夫!」
「スペンディングファースト」の話を以前書いた。
その中で紹介した中田敦彦氏の動画が話題になり、それに対する反論動画も数多く出回っている。
決定打と言えるのが、会田卓司氏「【判明】国債で減税して大丈夫な理由」という動画。中田氏の主張を完膚なきまでに論破している。
財務省が作った「日本の財政」という動画もかツッコミどころ満載だ。
財務省には高学歴の優秀な官僚が数多くいるイメージがあるが、「日本の財政」についてわかりやすく伝えようと努力して作ったこの動画をしばらく見ていると「???」が次々と沸いてきて、「ちょっと、何言ってんだか?」と言いたくなる。こうしたレクチャーを財務官僚が繰り返ししにやって来ると、国会議員は面倒くさくなり、次第に丸め込まれていってしまうように思う。
この財務省動画に対する反論動画もあるが、「まちがっても学校の教材として使ってはいけない」という批判は痛快だ。特に「利払費」や「債権償還費」が歳出に計上されていることについての説明がわかりやすい。
前出の会田氏は「国債60年償還ルール」などという謎のルールが日本の財政の姿をゆがめ、「一刻も早く国債を償還しないといけない」というまちがいを多くの国民にすり込んでいると言う。米国などで採用されているグローバルスタンダードな歳出構造で日本の予算(下記左図)を見ると、国債に依存していないことがよく分かる。それをしらないでいると、「日本の財政はギリシャより悪い」と発言することになる。


財務官僚は「国家財政は危機的状況にある。」というレクチャーをするために、各議員のもとに足繁く出向いているという。それが真実ならいいが、現実は異なる。財務官僚も国会議員もこの動画を併せて学んだ方がいい。前出の相田氏は「財務省の方自体も騙されていた」と擁護している別動画もある。「60年国債償還ルールは機能していない」は国家財政に関する新常識と言える。
時間のない我々庶民はどうすればいいか?ヨッシーのお勧めはこの動画だ。高校生なら用語等についての助言を加えれば十分に理解できるだろうし、アンテナの高い中学生なら興味をもって視聴するだろう。
騙されてはいけない。
「国債」は、いざとなれば日銀が日本銀行券を刷って返すことができる。印刷にかかる費用は、金本位制を敷いていた頃のように「金」(きん)で返すことに比べれば非常に安価で簡単である。
一方、家計における借金を、個人が日銀券を印刷して返せば「通貨偽造」の罪で逮捕されて処罰される。よって、市場に流通している日銀券で返さなければいけないので、簡単なことではない。
とは言え、個人の借金が何十億円もあったとしても、その金額に見合う土地や預貯金などの資産さえあれば、借金の利子を払っていれば、元本は減らないものの、破綻することはない。
国の場合も同じだ。「1200兆円」の借金があっても、それに見合うだけの土地や預貯金がある。しかも個人とは違い、国債発行に伴って発生する利子は、日銀券を発行して支払うことができる。
よって、国家財政が「破綻する確率」は、現状では極めて低いと分かる。
それなのに「財政状況が危険」と政治家に言わせている官僚レクチャーは明らかにおかしい。
故・森永卓郎氏が亡くなる前、立て続けに本を出し、「ザイム真理教」という言葉で財務省を痛烈に批判していたが、こうした動画を通して事実を知ると、「その通りだ」と理解できる。
こうしたことを知ってしまったら、学校教育に携わるものとして黙っていていいものなのか?という疑問がわいてくる。答えは明らかだが、伝え方には相当な工夫が要る。教育現場は「超保守」だからだ。
「日本の財政」については、主に中学、高校の社会科(「政治・経済」、「公民」)で詳しく学ぶが、学習指導要領に書かれている内容は教えなければいけない。教え方は教師に委ねられている。学習時間の9割をその学習に割くのであれば「学習指導要領違反」に問われることはないだろう。残りの1割で、学習者に疑問を持たせ、疑問を解決するための道筋を示してやれるか。教師の腕が問われる。
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