気持ちの読み取りを強いる道徳 ワークシートを使う授業はつまらない
ワークシートを使う道徳授業、やります?
4月新学期。どの先生も、忙しい中、時間を割いて授業準備をして授業に臨む。
子どもたちも去年の先生の授業と比べ、
「今年の先生は面白い!」
と評価する。
一方で、
(?…………)
いきなり、無言となってしまう授業もある。
「ワークシート」を使う授業だ。
しかもなぜか初任者に多い。
それは、周りの先生が使っている影響もある。
だが、ワークシートに書かれている設問を見てみる。
1⃣「それぞれのゆうきをどう思いますか。」
2⃣「ゆうきを出すためには、なにがひつようなのでしょう。」
3⃣「みなさんにとって、高めたい『つよいこころ』は、どのような心ですか。」
漠然とした問いが並び、書いてない心情や相手の気持ちを読み取るのが苦手なASDの子には、なんとも辛い設問となっている。
さて、配られたこのワークシートで授業をするとなると、ASDの子たちは書けるのだろうか?
あらすじ
「ゆうきを出すとき、ってどんなとき?」
先生から尋ねられたらどう答えますか?
家にいる時はどんな時?
学校にいる時は、どんな時?
読んでいきましょう。
定石①「登場人物」「セリフ」「したこと」の確定
「登場人物」 先生 だれか まさとさん まき子さん
「セリフ」に①〜⑦までナンバリング(番号付け)する。
①「ゆうきを出すときって、どんなとき?」
②「ジェットコースターにのるとき」
③「じゅぎょう中に、トイレに行くとき。」
④「じぶんから先に、あいさつするとき」
⑤「『ごめんなさい』と、あやまるとき。」
⑥ほかに、どんなときがありますか。」
⑦「なかまはずれの子に、声をかけるとき。」
登場回数やセリフ、記述の多さなどから「中心人物」が誰かは確定しづらいかも。そういう場合は、無理に中心人物を決めなくていいでしょう。代わりに、①〜⑦の話主は確定させておく。これは難しくありません。
定石②変換点の検討
発問1「誰のセリフが自分の考えに近いですか。」
②③④⑤⑦と番号を言ってやり、挙手させます。
発問2「誰のセリフが一番大事だと考えますか。」
その理由も言わせましょう。
発問3「自分はまき子さんのように言えるか?」
「言える」、「言えない」、それぞれ挙手させましょう。
発問4「言えない人は、なぜ言えないと思うか?」→恥ずかしい。馬鹿にされる。冷やかされる。言う勇気がない。
発問5「言えるようにするには、何が必要だと思うか。」→勇気
発問6「誰かが何かを頑張って続けている事を知っていたり、聞いたりしたことがないか。」
発問7「今、好きで頑張っていることをこの先もずっと続けていくとしたら、どのような考えを持っていきたいか」
まとめ
教材自体は短く、内容も把握しやすいでしょう。最後10分程度残るような感じで進めていけるのではないでしょうか?教科書教材の末尾余白に、考えたことを「わ・き・お」形式で書かせて提出させましょう。
教師講話バリエーションを増やす方法として、「好きこそ物の上手なれ」など「ことわざ」を紹介して終わるのもいいかもしれません。
ワークシート、使う?
もし前述のワークシートを使うとしたら、スムーズに進むのでしょうか?
1⃣「それぞれのゆうきをどう思いますか。」
→それぞれ?って、
1.ジェットコースター、2.トイレ、3.あいさつ、4.あやまる、5.なかまはずれ
こうした事を指すのでしょうけれど、「どう思うか?」って、全部違うだろうし、勇気かどうかも分からんし、答えようがないのでは?
2⃣「ゆうきを出すためには、なにがひつようなのでしょう。」
→意味が分かりません。勇気を出すためには、何かが必要なんですか?必要だとしたら勇気なんじゃないですか?答えようがありません。
3⃣「みなさんにとって、高めたい『つよいこころ』は、どのような心ですか。」
→「ちょっと、何言ってるか?分からない。」
お笑い「サンドイッチマン」の富澤さんじゃないけど、そう言いたくなります。
このワークシート。現場を知らない編集者が作っているんでしょう。そうとしか思えません。
ワークシート。便利そうに見えて、ほぼ使えません。子どもにフィットしません。なのになぜ印刷して使っているんでしょう。
それは、
「指導書に付いているから」
「指導書」に書かれていることが正解
そのように思っているんでしょう。
でも指導書は、虎の巻でも何でもありません。しかも書かれていることに法的拘束力はありません。多くは大学の先生か、附属の先生か、指導主事か、その知り合いが書いてます。それでも原稿依頼できなかった教材は、現場を知らない編集者が書いていますよ。
それ、信じてやったらどうなるか?(………怖………)
だからわかるでしょ!ASDの子たちが食い付かない理由が!
道徳授業の定石化「僕はのび太でした」はこちら。
道徳の定石化「さるへいと立てふだ」はこちら。
道徳授業の定石化「①登場人物の確定」「②変換点の検討」「③今と未来の選択」についてはこちらから。
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