道徳授業の定石化「七つのほし」(東書1年 教出2年)感動、畏敬の念 〔心の美しさ〕
「押しつけがましさ」と、どう向き合うか?
「感動・畏敬の念」を扱う道徳教材。「美しい物に触れ、すがすがしい心をもつこと」について考えさせる。押しつけがましさが感じられ、扱いづらい内容だ。
「七つのほし」(トルストイ原作)という教材は、題名は違っていても、道徳教科書を出版する全ての教科書会社が採用している。この内容にふさわしい教材と言うことなのだろう。辛い時にも病気の母親や犬や旅人のことを優先して行動する女の子。そんなけなげな子がしていることは、金や銀、ダイヤモンドよりも美しい、というようなことを学習させたいようだ。「わざとらしさ」が気にならないように、定石発問で「さらっ」と扱う。
あらすじ
女の子と病気のお母さんがいた。女の子はお母さんにのませる水を探しに出かけた。疲れて草の上に寝て起きたところ、ひしゃくに水がいっぱい入っていた。帰る途中、犬が水がほしそうだったので飲ませると、木のひしゃくが銀に変わった。家に帰ってお母さんに飲ませようとすると、「先に飲みなさい」と言われた時、金のひしゃくに変わった。疲れた旅人が来て「水を飲ませてください」と頼まれたので、ひしゃくをわたすと、七つの大きなダイヤモンドと水がひしゃくからあふれ出てきて空の七つ星になった。
定石①「登場人物」「セリフ」「したこと」の確定
「登場人物」 女の子(赤丸囲み) おかあさん(青丸囲み) 犬(黒丸囲み) たびびと
「セリフ」 ア=女の子 イ=おかあさん ウ=たびびと
※登場回数やセリフ、したことの記述の多さから「女の子」が「中心人物」
女の子が「したこと」は何か。
これらを確認するため、①〜⑥をパワーポイントなどでスライド形式にして大型テレビに投影し、クイズ形式で見せていくといいかもしれない。
①びょうきの◯◯◯◯(→お母さん)にのませる◯(→水)をさがしに出かけた→目をさますと水の入った◯◯◯◯(→ひしゃく)があらわれた。
②ひしゃくの中の◯(→水)をのむのを◯◯◯(→がまん)し、家に向かってかけ出した。
③たおれていた◯(→犬)に水をのませた→木のひしゃくが◯◯(→ぎん)色になった。
④家でお母さんにひしゃくをわたし、水をのませようとした→ひしゃくが◯◯(→金)色に変わった。
⑤水を飲もうとした→家に入ってきた◯◯◯◯(→たびびと)にひしゃくをわたした→ひしゃくから七つの◯◯◯◯◯◯(→ダイヤモンド)がとび出し、水があふれてきた。
⑥七つのダイヤモンドが空にのぼり、七つの◯◯(→ほし)に変わった。
定石②中心人物の変換点の検討
発問1「女の子は、何回水を飲もうとしたか。」→3回
発問2「女の子は、どんな子か。」我慢強い 母親思い 思いやりがある 弱い者にやさしい
発問3「そういう女の子の考えが変わった所はありますか?」→ない。
定石③今の自分、未来の自分を選ぶ
「今の自分は、女の子のように行動できているか。」
「金、銀、ダイヤモンド、七つの星など、この話には『美しいもの』が次々と出てきたが、一番美しいものは何か」→母親や犬、旅人など、弱い人や相手のことを思いやる女の子の心
「生活の中で、うつくしいと感じる行動を見たり聞いたりしたことはないか。」
「これからの自分は、どのように行動していきたいか」
まとめ
教材末尾の余白に「わ・き・お」について書かせ(※時間をたっぷり取っていい)、ロイロノートなどのアプリで書いた事を写真で撮って提出。
「似ている話」や「だれかから聞いた話」があれば発表させる。
なかなか出てこないかも知れないが、
「靴を揃える」「割り込みをせずに順番を待つ日本人」「応援で使ったゴミ袋で会場をきれいにするサッカー日本代表サポーター」
など、「美しい行動」だと思うことを教師が紹介してやるといい。
道徳の定石化「さるへいと立てふだ」(東書2年)はこちらから。
道徳授業の定石化「①登場人物の確定」「②変換点の検討」「③今と未来の選択」についてはこちらから。
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